思想革命

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アリエリー教授の「行動経済学」入門【書評】

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こんにちは、一歩です。

今日読んだ本はこちら。

アリエリー教授の「行動経済学」入門 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

アリエリー教授の「行動経済学」入門 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

「経済学」という学問では、人は「自己の利益が最大化するように経済活動を行う」という前提があるのですが、人は常に合理的というわけではありませんよね。

そんな「不合理性」を追求するのが、「行動経済学」です。

この本の著者 ダン・アリエリーは行動経済学の第一人者です。

 

人間は”不合理な”存在である

 

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私たちは「目的」、「目標」、「願望」といった壮大なものが人々を動かしていると思っています。

しかし、実際にはそうではありません。

食べ過ぎてしまうこともよくありますし、計画した通り運動できないこと、思ったほどには節約できないこともあるでしょう。

 

つまり私たちは皆、目標も目的も願望も持っているけど、現実にはそれらが日々の行動には全く結び付かないということが言える。

引用:アリエリー教授の「行動経済学」入門

 

そう。私たちは合理的な存在ではありません。

私たちは”不合理な”存在なのです。

 

 

あなたも人に流される 

 

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人は人に流されるというのは、ある程度は自覚していることだとは思いますが、我々は思っている以上に「人に流される」ようです。

 

例えば、こんな実験を紹介しましょう。

どうすればホテルのタオルを再利用する人が増えるか、という実験です。

ホテルには「環境保護のために、タオルを再利用してください。」という札がありました。

本当はお金の節約のためですが、そうは書かず、環境保護のためと書きます。宿泊客に信じてもらえるかどうかは別にして。

普通に言えば、これはいいアイデアですが、実際には何もしない客が多いのです。札を見ても何かと理由をつけて再利用しないのです。

 

では、タオルを再利用してもらうためには、どんな札を掲げればいいのでしょう。

一つには「このホテルの75%の人が」という要素を入れるとる方法です。

例えば、「このホテルの75%のお客様がタオルを再利用しています。」などです。

この方法でタオルの再利用率は20%増えたそうです。

 

つまり、ほかの人たちはどうしているのか、「社会の標準」、いわゆる「社会規範(social norms)」と呼ばれるものを効果的に使うことが大切なんだ。

引用:アリエリー教授の「行動経済学」入門

 

 さらに、「過去にこの部屋に泊まった客は」という要素を加えるとさらに良いです。

「”この部屋に泊まったお客様の”75%が再利用しました。」に変更するどうなったでしょう。

”このホテルのお客様の”だと再利用率は20%の上昇だったのが、”この部屋に泊まったお客様の”だと35%ほどになりました。

それは、人は自分と共通点のある集団に魅力を感じるためです。

 

つまり、人が周囲に同調しがちだという性質の利用したいなら、人が真似したいと思うような効果的な集団を考えることが重要だということだ。

引用:アリエリー教授の「行動経済学」入門

 

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また、ひと口に「同調」といっても、物知りな他人に従う「合理的な同調」と、無知な他人につい合わせてしまう「不合理な同調」の2種類があります。問題なのは、他人が物知りかどうか判断もつかないのに、とりあえず同調してしまうことです。

 

上司が「私はこうだと思う」と言ったとして、部下たちは「違うだろう」「冗談だろう」と思っている。内心では「上司の言うことは間違っている」と思っても、口では「イエス」と答えてしまうのが、不合理な同調だ。そして、部下たちが心から上司の意見に対して賛成しているのが合理的な同調だ。

引用:アリエリー教授の「行動経済学」入門

 

 

感情の働き方を考える

 

 

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人が合理性ではなく感情で動くのだとしたら、どのように人々の感情が動くのかを考えてみましょう。

アリエリー教授は言います。

 

私が言いたいのは、物事を統計的に、数学の問題として捉えた途端、私たちの感情のスイッチは切れてしまうということだ。物事に関心を向けるのは感情あってこそだが、数字の問題として捉えた途端、感情のスイッチが切れてしまう。そして、行動しなくなる。

引用:アリエリー教授の「行動経済学」入門

 

一つ実験を紹介しましょう。

被験者に8人の可愛い子供たちの写真を見せるとします。

最初のグループには、「8人全員が助けを必要としています」説明した後、「8人のうち誰かにお金を寄付したい場合は、少し置いて行ってください。あとで私が8人の中から無作為に一人を選んでお金を渡しておきます」と伝えます。

二つ目のグループには、「8人のうちこの子にお金を渡します」と伝えます。

どちらがより多く寄付したでしょうか。誰か一人にお金が渡る点は同じです。

結果は、特定の一人を指定したグループのほうがより多くのお金を置いていきました。誰を選んだかにかかわらず。

最初のグループの人は「どの子にお金が渡るのかわからないなら寄付しなくてもいい」と思ってしまったのです。一人だったら気にかけるのに、人数が8人に何た途端、その命に対する人々の関心は一気に低下してしまったのです。

 

 

感想

 

この本を読んでの率直な感想は「行動経済学って面白すぎw」です。

今まで読んできた経済学の本とは全く違う切り口なので新鮮で、かつ僕が大好きな心理学の要素も多い。最高です。

とりあえずは、ダン・アリエリーさんの著書を何冊か読み漁ってみようと思います。